しかし、JIPはここ数年、常に存続の危機にさらされている。財政難に苦しむフェアファクス郡は公立学校の運営で約1億4000万ドル(約140億円)の赤字を抱え、3校のうち1校はJIPを廃止した。今年10月には教育長がJIPを含む小学校の外国語学習プログラム予算を550万ドル減らす案を提示した。
教え子との再会
保護者の中にも「ぜいたくなプログラムだ」との批判がないわけではない。これに対し、グレートフォールズ小のレイ・ロネット校長(35)は「確かに財源は乏しいが、子供たちがグローバルにコミュニケーションできる力を与えることが高い優先順位を保っている」と主張する。
日本経済の縮小や中国、インドなどアジア新興国の台頭で日本語を習う必要性は減っている。それでもウォーランドに迷いはない。昨年、東京で証券会社に勤務する教え子と、新宿の天ぷら店で再会した。見違えるまでに立派になった青年の姿に、これからも授業を続ける決意を新たにした。
「米国で暮らし、日本の文化は素晴らしいとあらためて気が付かされた。日米に縁のあるポトマック川のほとりでできるだけ長く、日本の良いところを子供に伝えたい」(敬称略、共同/SANKEI EXPRESS)