【世界川物語】
「もし幸運にも、若者の頃、パリで暮らすことができたなら、その後の人生をどこですごそうとも、パリはついてくる」
米国の文豪アーネスト・ヘミングウェーは、20代の数年間を過ごしたパリの魅力をこう語っている。(「移動祝祭日」高見浩訳、新潮文庫)
パリはそれほど魅惑に満ちた都市だ。エッフェル塔、凱旋門、シャンゼリゼ…。名所を挙げればきりがない。だが、この町を語るとき、絶対に欠かせない場所がある。
セーヌ川だ。
遊覧船からの景観
晴れた秋の日、アルマ橋そばの桟橋から、セーヌ川遊覧船バトー・ムーシュに乗り込んだ。
船は2階建て。オープンエアの2階から、席が埋まっていく。中国人の団体客、ドイツ人の学生、「結婚20年目の“ハネムーン”に来た」と笑うノルウェー人カップル。世界各国からの観光客でいっぱいだ。船内の案内放送は、フランス語、英語をはじめ8カ国語。もちろん日本語もある。