この古本市は、17世紀以前にさかのぼる古い歴史を持ち、現在はユネスコの世界遺産「セーヌ河岸」の一部に指定され、パリ市が管理。許可を受けた約240人が営業している。
「20年前この店を開いた。読書は好きだったが、別にブキニストになりたかったわけじゃない」
ベルナール・テラード(62)は、高級レストラン「ラ・トゥール・ダルジャン」近くの河岸で、ミステリーなどの古書を専門に扱っている。南フランスのモンペリエで生まれ、各地を転々とし「風に吹かれているうちに、この仕事に就いた」。ミステリー小説が大好きで「日本の西村(京太郎)や江戸川(乱歩)も愛読しているよ」と言う。
場所代は無料。週4日以上開店という以外、さほど縛りはない。好きな時間に仕事を始め、日が暮れる前に店じまい。川風に吹かれ、いすに座って読書しながら客を待つ。はた目からは、優雅な商売に見えるのだが…。