登場人物たちはもがき、沈み、けれど、自分自身で答えをつかみ、再び浮上していく。「自分で納得しないかぎり、前に進むことはできない。自分の気持ちを支配するのは、自分なんです。悩んでいると視野が狭まってしまうけれど、1つの型に自分を押し込める必要なんてない。答えや選択肢は1つじゃないということを伝えたいですね」
自身も、20~30代の登場人物たちと同世代。「順調な人間なんて、一人もいないはず。これを読んで、ちょっとだけでも気持ちを軽くしてもらえればうれしいです」(塩塚夢、写真も/SANKEI EXPRESS)
■ひるた・あさこ 1979年、北海道生まれ。広告会社勤務を経て、2008年「女による女のためのR-18文学賞」大賞を受賞。改題した受賞作を含む短編小説集『自縄自縛の私』でデビュー。この作品は今年2月、竹中直人監督で映画化された。ほかの作品に『星とモノサシ』『人肌ショコラリキュール』。札幌市在住。
「愛を振り込む」(蛭田亜紗子著/幻冬舎、1365円)