労働組合の中央組織である連合は、神津里季生会長が28年春闘について「底上げのきっかけをつくれた」と総括し、今後も「持続性、継続性が重要だ」と強調する。15年ぶりとなる4年連続のベア実現に向け、「10月から議論を本格化」(神津会長)させる。
28年春闘で、経団連は年収ベースでの引き上げに力点を置いた。連合は、賃上げによる個人消費の拡大に向けては、賞与の増加などよりも、月例賃金の引き上げの方が効果が大きいと主張。29年春闘でも「月例賃金にこだわり続ける」(連合幹部)方針だ。また、大企業よりも中小企業の引き上げ率を高めるなど、底上げも継続させる。
労使ともに、デフレ脱却や経済成長のために賃上げが必要という点では一致し、経済環境は厳しいという認識も共有している。
自動車総連の相原康伸会長は「円高進行や、英国の欧州連合(EU)離脱などの国際情勢で、不確実性が高まる」と指摘する。
企業経営者からは、国内消費の弱さや世界経済のリスク拡大を懸念する意見が聞かれ、28年春闘の水準を上回る賃上げ率を確保することが「極めて厳しい」(大手メーカー首脳)といった見方も出ている。