【28年春闘】連合、経済界ともに評価するも安倍首相は「もっと力強さを」 流通など牽引、2次集計の賃上げ率2・10% 

2016.3.25 22:33

 連合は25日、平成28年春闘の回答第2次集計結果を発表した。賃金水準を一律に引き上げるベースアップ(ベア)と定期昇給を含めた賃上げ率が2・10%で、3月18日時点の第1次集計の2・08%を上回った。28年春闘をめぐっては、連合も経済界も評価しているが、賃上げの水準は昨年より低い状況にあり、安倍晋三政権は引き続き経済界に賃上げ要請を続けることにしている。(平尾孝)

 春闘は、3月中旬に自動車、電機、鉄鋼などの大手が集中回答し、それ以降、中堅、中小企業が順次回答していく。このため、時期が遅くなるほど、賃上げ率は低下するのが一般的だ。昨年も1次集計で2・43%だったが、7月1日の最終集計では賃上げ率は2・20%に低下した。

 今回は、1次集計段階から711組合増えた1183組合の回答で賃上げ率を算出した。連合では「人手不足が深刻になる流通などで、自動車などを上回る賃上げを獲得している組合もある」とし、「内需型産業が賃上げを牽引(けんいん)している」と指摘した。組合員数300人未満の中小企業の賃上げ率は2・07%だった。

 連合は「大手、中小とも賃上げ率はほぼ同水準だ」と評価し、神津里季生会長は25日の記者会見で「業種や企業規模にかかわらず全体の賃金を引き上げる底上げ春闘に取り組んだ結果が出始めている」と述べた。

 麻生太郎財務相は同日の記者会見で、「3年連続のベアは、雇用、所得などで日本経済が改善していることを示している」と述べ、日本経済の堅調ぶりをアピールした。

 また、経団連の榊原定征会長は22日の定例会見で、「ベア失速」「息切れ」といった報道が相次いでいることに対し、「こういった表現は残念だ。消費者の意欲が悪くなり、デフレ脱却の足を引っ張ることになる」と述べ、マスコミ批判を展開した。

 ただ、昨年の2次集計段階の賃上げ率は全体が2・36%、中小企業が2・19%だった。世界経済の先行き不安などから、長期的な人件費の上昇につながるベアに対し、企業側は「経営環境は潮目が変わった」(トヨタ自動車の豊田章男社長)と慎重になっている。

 安倍首相は今年の賃上げに必ずしも満足しているわけではない。24日の経済財政諮問会議で、榊原氏がいる前で「企業収益が過去最高である。欲をいえばもう少し(賃上げに)力強さが欲しかった」と語った。

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