【28年春闘】ベア前年下回る 業績の先行きに不安

2016.3.16 22:09

ホワイトボードに回答状況を書き込む関係者。大手企業のベースアップは全体的に前年に比べると低調な水準となった=16日、東京都中央区(寺河内美奈撮影)

ホワイトボードに回答状況を書き込む関係者。大手企業のベースアップは全体的に前年に比べると低調な水準となった=16日、東京都中央区(寺河内美奈撮影)【拡大】

 平成28年春闘は16日、自動車や電機などの集中回答日を迎え、賃金水準を一律に引き上げるベースアップ(ベア)では、前年を下回る水準での妥結が相次いだ。中国経済の減速や世界的な金融市場の混乱などを背景に、企業経営者が業績の先行きに不安を感じているのが影響した。

 トヨタ自動車は、一時金(ボーナス)については7.1カ月と満額回答したが、ベアに相当する賃金改善分は月1500円と、前年実績を下回った。日産自動車は、ベアに相当する賃金改善分として月3千円を回答し、一時金も含め労組要求に満額で回答した。北米市場の販売増による好業績を社員に還元する。

 横並びの回答が慣例となっているパナソニックや日立製作所などの電機大手は賃金改善分として月1500円で妥結。自動車業界よりも業績の先行き懸念が強く、昨年の3千円を半減した。

 造船・重機では、三菱重工業が賃金改善分として月4千円の要求に対し1500円と回答。ベアは固定費の増加として経営の負担になりかねないため、28年春闘では経営側が慎重な姿勢を鮮明にした格好だ。

 経団連の榊原定征会長は16日、東京都内で記者団に対し、3年連続のベア実現で「一昨年、昨年と続いてきた賃上げの勢いが継続した」と述べ、集中回答の内容を高く評価した。連合の神津里季生会長も記者会見で「過年度物価上昇がない中でのベアは初めて。賃上げの持続性につながる大きな成果だ」と述べ、各労組の健闘をたたえた。

 今後は、大手との格差が拡大する中堅・中小企業で労働環境の底上げが実現するかが焦点となる。中小の製造業が中心の産業別労働組合JAMは31日に回答集計を発表する。

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