デザイン極める飽くなき追究 ジル・サンダーの日本人デザイナー、村田晴信さん (1/3ページ)

2016.5.1 06:00

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 「ラグジュアリーブランドはデザインのプロセスも手が込んでいるのですよ。単に素材の質がよくて高額というわけじゃない」

 高額商品である理由として材料や生産コストはイメージしやすい。が、デザインのプロセス自身にもコストをかけている。ジル・サンダーのデザイナーである村田晴信さんはそう語る。

 ぼくは村田さんの活動を毎年追って記事に書いてきている。ミラノファッションの若手登竜門で優勝した2012年の翌年に書いた「伊ファッション界の厳しさ 最初はボコボコ…日本人デザイナーの挑戦」では、戸惑うことばかりが多い様子を紹介した。

 彼はジョン・リッチモンドで3年経験を積んだ後、昨春、ジル・サンダーに移った。正統的ラグジュアリーファッションの道を歩みたいと考えてきた村田さんにとって、希望のブランドだった。新しい職場で目にしたのが、最高のデザインを極めるための飽くなき追求である。

 「一つのポケットの位置を決めるのにも1ミリ単位で4回でも5回でも試作品を作りなおすのです。モデルに着てもらうフィッティングでは、微調整だけでなく、例えば前後を逆に着てもらったりする。するとパチン!と指を鳴らしたくなるアイデアが閃いたりするわけですよ。コレクション発表までほとんど時間がないところでも、そのアイデアを十分に練ったカタチに超スピードで仕上げるのです」

 即ち、ギリギリの状況でも新しいアイデアを積極的に採用する環境がある。実際的にいえば、デザイナーの変更案をパタンナーなどの後工程のメンバーがNOと言わない合意がチーム内でとれている、ということだ。

当然ながらアウトソーシングや下請けへ無理がききやすい企業力も無視できないとは思うが…

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