日本企業の99.7%が中小企業であり、企業の総従業員数4000万人のうち7割が中小企業に勤務している。しかし書店では、大企業の経営戦略を紹介した書籍が目につく。世界の中小・ベンチャー企業を紹介した本書は、経営戦略のビジネス書の中でも稀有であろう。
本書では、中小・ベンチャー企業の現状を世界規模で取り上げている。欧米の中小・ベンチャー企業を中心に、ケースごとに紹介している。各社のトップに「企業が伸びるための3つの鍵」、「海外ビジネスのコツ」をインタビューを行っている。
日本企業が生き残るために必須と言われているグローバル化にも言及しているが、著者は「ローカル回帰が重要だ」「日本企業は周囲の意見に振り回されすぎだ」と述べる。長年、ヨーロッパ各国でビジネスをおこなってきた著者ならではの感覚だ。他にも、「デザイン」や「オープンなプラットフォーム」の活用事例も紹介している。
海外の中小・ベンチャー企業の実情やノウハウを、日本の中小・ベンチャー企業経営のヒントとして授けてくれる本書。日本、そして海外市場で成長するために必須な情報がまとまっている。中小・ベンチャー企業の経営に携わる方のみならず、海外市場を担当するマーケティングや戦略担当者の方に、ぜひお手にとっていただきたい。