正統派で勝負したいファッションデザイナー 量産と手作りの迷い (1/3ページ)

2015.3.15 06:00

結婚した友達にドレスを渡した時の写真

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  • 2週間前のミラノコレクションで発表したドレスの製作中(パタンナーがアトリエで最終の仕上げをしているところ)
  • ドレスのスケッチの写真

 日本からイタリアに来た当初、吉岡徳仁のデザインが好きだったファッションデザイナーはイタリアのブランド、ジョン・リッチモンドで働いて3年近くになる。

 ジョン・リッチモンドのファッションを手掛けるようになって、「削ぐのではなく加える」「隠すのではなく大胆に見せるセクシー」といった、それまで自分が追っていたデザインアプローチと真逆のことを求められ、一生懸命になってその期待に応えた。

 好き嫌いを言うより、まずファッションのメインストリームとその周辺で、何をどう感じ考えているか、それらを知ることを優先してきた。

 村田晴信さん、26歳である。過去2回、彼のことをこのコラムに書いた。ミラノコレクションの新人登竜門で入賞してジョン・リッチモンドに入る頃が1回目。次はジョン・リッチモンドで1年以上経験した時だ。その1年間でチーフデザイナーの好むパディ・スミスを聞き、肉を食べることが増えた。

 しかし、それから2年近くの時間が経て、パディ・スミスは職場でしか聞かず、自宅ではジャズのようなゆったりとした曲を聞く。食事もふたたび薄味になった。それでも吉岡徳仁が現在どのような作品を作っているか、2年前よりさらに関心がなくなった。嫌いになったわけではない。単にイタリアのファッションデザイン体験と距離があり過ぎ、フォローする気になれないだけだ。

 そしてこう語る。

 「3Dプリンターで服を作るなど新しい動きがありますが、日本にいた頃の自分ならそのブームにのっていたかもしれませんね。でもここで仕事をしていると、『それでどうしたいの?』と思ってしまいますね。右往左往しないことを大切にしたいです」

テクノロジーを軽視するのではない

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