正統派で勝負したいファッションデザイナー 量産と手作りの迷い (2/3ページ)

2015.3.15 06:00

結婚した友達にドレスを渡した時の写真

結婚した友達にドレスを渡した時の写真【拡大】

  • 2週間前のミラノコレクションで発表したドレスの製作中(パタンナーがアトリエで最終の仕上げをしているところ)
  • ドレスのスケッチの写真

 テクノロジーを軽視するのではない。人のやっていないことで新領域を作りたいという気がない。イノベーションという言葉にも振り回されず、正統派として勝負したいのである。

 昨年、女友達が結婚した。その際、彼女のためにドレスをデザインして作ってあげた。刺繍を施したタグやパタンナーに渡したスケッチのオリジナルも額にはめ込んだ。それらを自分のロゴを記載したケースに入れてプレゼントした。この作業をしながら、そのプロセスがとても気に入った。

 量産の世界、手作りの世界、どちらもやりたい。素早く動く大きな市場にも関わる一方、大好きなジャズボーカリストのためにオートクチュールのドレスを作れたら素敵とも夢見る。

 服だけがすべてではないとも思うようになった。自分の考えを表現するには必要があれば照明器具もデザインしてみたいし、服だけでは表現しきれない感覚を食で伝えられるなら、それもカバーしたいと考える。こういうことを実現するためには、経営のことも知らないといけないとビジネス書も手にするようになった。

 村田さんの言葉を聞きながら20代の後半として、とても良いところに来ていると感じた。若干自分自身としては古い感覚と思われるファッションデザインからも、貪欲に吸収できるものは吸収したいとの意欲が強い。

 「ちょっと面白いデザインってどの分野でもよくありますよね。あっ、こんな工夫したんだって分かるようなもの。そういう仕事が悪いのではなく、そういうところで自分のブランドを作りたいとは思えないのです」と正直に話す。

繰り返すが、村田さんはイノベーションを恐れる保守派になったのではない

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