しゃぶしゃぶや大福は好きだと言う。お姉さんが日系航空会社のクルーだったこともあり、日本にも旅したことがある。滞在中に日本の言葉も少し覚えたようだ。ミラノでデザインを勉強するタイ人の女性のことだ。バンコクの名門大学を卒業後2年ほど働きイタリアに来た。彼女をオオムと愛称で呼ぼう。
オオムに彼女の日常のなかでの日本文化の存在感を聞いてみた。
「私の(タイでの)生活だとすると、20%くらいかなあ。タイが30%。残りがアメリカとヨーロッパという配分かしら」
日本の文化が好きだという彼女の示す20%を多いとみるか少ないとみるか。
タイの人は一般的に日本に好意的と聞くが、日本の何に惹かれているのだろうか。特に消費を動かすアッパーミドルの若い女性の場合、どうなのだろうか。それを知りたかったぼくは高級官僚を父親にもつ彼女に、いくつかの分野について極めて具体的に質問を重ねてみた。まず食は?
「家ではタイ料理がほとんど。麺だと調味料によって中華風にしたり和風にしたりするわよ。週一くらいの外食でも同じかな。しゃぶしゃぶも食べに行く。インターナショナルスタイルは2か月に一回程度」