「シリコンバレーの文化はニッチだ。パラダイムは他と違うしエコシステムはユニーク。あそこで失敗は価値だがイタリアでは恥。リスクを当然と考えるがイタリアでは避けるもの」
こう話すのはデジタルマーケティングをリードする会社、HAGAKURE(ハガクレ)を経営するマルコ・マッサロットさんだ。その彼にイタリアからのシリコンバレー観を聞いてみた。
「シリコンバレーでは国ではなく世界をどう変えるかが問われるんだね。破壊的な威力はあるし、チャンスも山ほどある。イタリアのスタートアップもシリコンバレー・ドリームを持ち込もうとするが、結局、イタリアの文化は変えられない。倫理観が違いすぎるんだ」
イタリア人は地域を優先するし英語への苦手意識がある。しかもコスモポリタンカルチャーを信じ込めない。そこで「多くの起業家に、とにかくあそこに行って机一つのオフィスでもいいから経験を積んでみろ」とマッサロットさんは発破をかけている。
ぼく自身、今まで多くのイタリアの起業家に会ってきたが、一見、「脱イタリア風」だ。グローバリゼーションとは英米文化経由の共通語で隣の国の人と話せるようになることだ、と思わせるに十分な人たちである。しかし実際の敷居は高い。
さて2012年、イタリアからの国外移住者が前年比で30%増加した。年齢では20-40歳で行き先はスイス、ドイツ、英国と続き、約60%が欧州内だ。言うまでもなく財政危機が原因だ。