シリコンバレーとの距離感 日本とイタリアのちがいは? (3/3ページ)

2013.5.26 06:00

HAGAKUREのマルコ・マッサロット氏

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 「日本の社会も米国のように挑戦的になるべきと語られることが多く、それはそれでいいんだけど、どうも扇動的過ぎる感がありますね。そしてシリコンバレーのやり方を米国文化の代表とみなす傾向が日本ではあるんですよ」とぼくが話すと、ルーカ・トレモラーダさんは「うん、それはイタリアとは大きく違う点だ」と頷いた。

 彼はイタリアの日刊経済紙Il Sole 24 Ore(イル・ソーレ・ヴェンティ・クワットロ・オーレ)のITと起業が担当のジャーナリストだ。

 「イタリアはインターフェイスの面で国際的に活躍できる素地があると思う。デザイン、メカ、ITを融合する資産がイタリアにはある」と期待を語る。ぼくもそう思う。人と人の接点に多大なエネルギーと注意を払うイタリア人だからこそ、機械と人のつきあい方にもこだわりが強い。

 この点は「相手を慮る」ことを得意と自負する日本企業と重なるテーマだ。ただ冒頭のマッサロットさんは、同じ欧州でもフランスや英国の企業のほうが各文化に適応性が高いシンプルなサービスを目指さそうとすると指摘する。

 それではイタリアは出遅れたスタートアップをずっと抱え続けるのか?日本と似た悩みを持ち続けるのか? 

 突き詰めるところ、イタリアの起業家は自分のやっていることへの確信が強い。簡単にいえば脇目もふらずにばく進する。他人のやっていることを気にし過ぎない。それゆえに彼らは環境次第で即国外で勝負できる用意がある。

 ただその一点が、イタリアと日本を眺めていて違うと思う。

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 安西洋之(あんざい ひろゆき) 上智大学文学部仏文科卒業。日本の自動車メーカーに勤務後、独立。ミラノ在住。ビジネスプランナーとしてデザインから文化論まで全方位で活動。現在、ローカリゼーションマップのビジネス化を図っている。著書に『ヨーロッパの目 日本の目 文化のリアリティを読み解く』 共著に『「マルちゃん」はなぜメキシコの国民食になったのか? 世界で売れる商品の異文化対応力』。ローカリゼーションマップのサイト(β版)フェイスブックのページ ブログ「さまざまなデザイン」 Twitterは@anzaih

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