空港から重いスーツケースを自宅に送り、そのままビジネスミーティングに向かう。国内で滞在先が数か所に渡る長期出張の場合、各宿泊地に事前に着替えを送っておく。配達の正確さに信頼がおけ、しかも割安だからこそ気楽に利用できる。
日本の宅急便は文句なしに信頼性が高い。このようなサービスが可能な国はそうない。「芸当」に近い。
オンラインショップが普及しても物流システムが整備されていないと全ては「絵に描いた餅」である。イタリアで配達時刻指定を頼んでも、「できない」と冷たく断られる。到着日がずれるのもざらだ。ただ、これが世界では普通だろう。そのためかどうか知らないがアマゾンも世界で10カ国程度でしかサイトを構えていない。
とするならば逆に日本で外資系クーリエサービスは本社との間で猛烈な葛藤があるのではないか? そういう好奇心を携えてドイツのDHLの日本法人で働く須藤恭太さんに苦労話を聞いてみた。
「海外通販を個人で利用されるお客様が増えていますが、配達時間指定に馴れているユーザーには法人にあわせた平日日中のみで時間指定なしの配送サービスに抵抗があるようです」
法人顧客が主流のDHLならではの悩みだ。サービスをグローバルに均一に提供する会社で、一国だけのニーズを取り込むのは至難の業だ。どう解決するのだろうか。