指定時間を自動配信メールで尋ねるサービスを日本ではじめた後、同じ問題を抱えていたオーストラリアやイスラエルも倣い、それらの好実績を知ったドイツ本社がグローバルに展開するに至った。
日本の宅急便が生みだした質の高いサービスが、単に消費者の我が儘ではなく経済合理性を適えていたとの裏付けがとれたわけだ。そして日本だけでなく複数の地域で良い成果を得たことによって、本社が標準サービスとして取り入れた。
もちろんいつも上手くいくわけではない。貨物のダメージに対して社内基準と日本のユーザーが考えるレベルに乖離がある。よって日本のユーザーのクレームが認知されないケースが出てきた。
このためDHLは全世界で貨物のハンドリング教育徹底等ソフト面での改善を図ったが、現状は痛し痒しだ。というのは日本の扱い貨物だけが他国より信頼性がある、とほぼ日本人クライアントのみに評価されているのだ。他国の人にとってはDHLのグローバル標準で構わない。
日本市場を語る時、ともするとその特殊性が言われやすい。品質からはじまり何から何まで要求レベルが高いというのが定説だ。貨物の損傷基準が良いケースだ。しかし時間指定のように多くの国の潜在需要を先に見出すこともある。自分たちだけが特別だと思い込みすぎないようにしたい。
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6月15日(土曜日)にローカリゼーションマップの勉強会を開催します。今回のテーマは「『グローバル人材』って本当にいるの?」です。詳細は以下をご覧ください。→http://milano.metrocs.jp/archives/5873
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ローカリゼーションマップとは? 異文化市場を短期間で理解するためのアプローチ。ビジネス企画を前進させるための異文化の分かり方だが、異文化の対象は海外市場に限らず国内市場も含まれる。
安西洋之(あんざい ひろゆき) 上智大学文学部仏文科卒業。日本の自動車メーカーに勤務後、独立。ミラノ在住。ビジネスプランナーとしてデザインから文化論まで全方位で活動。現在、ローカリゼーションマップのビジネス化を図っている。著書に『ヨーロッパの目 日本の目 文化のリアリティを読み解く』 共著に『「マルちゃん」はなぜメキシコの国民食になったのか? 世界で売れる商品の異文化対応力』。ローカリゼーションマップのサイト(β版)とフェイスブックのページ ブログ「さまざまなデザイン」 Twitterは@anzaih