期待高まる「食デザイン」 罠を上手くすり抜けたコンセプト (1/3ページ)

2014.12.21 06:00

SPD理事長

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 デザインという言葉が民主化している。プロダクトデザインやグラフィックデザインという従来の世界だけでなく、事業企画などの世界でもデザインの思考や作業のプロセスが注目されている。

 一方、食も関心の的である。健康や食の安全という文脈がある。また豊かな生活を演出する要素としての食がある。あるいは農業という視点からも捉えられる。今、かつては考えられなかったほどに、経済人が農業や食に投資をしている。

 また毎年4月、ミラノで開催されるデザインウィークをみても、家具や雑貨も食空間を飾る作品が多くなっている。それも食べ物そのものやパッケージをデザインしたものまで範囲が広がってきた。ファッションやインテリアデザインから時代のトレンドを探るだけでなく、食から時代の考え方を掴まえるようになっている。

 このような状況のなかで食を立体的に捉えることができる人材が必要になっているのは明らかだ。シェフ、料理研究家、食品メーカーの人、農業や観光業あるいは地域活性化に従事する人。こういう人たちが、それぞれの分野にいる。しかし、これらの枠を超えて戦略的にものを考えられるタイプが求められるようになっている。

 そう気づいたのがミラノのデザイン大学、SPD (Scuola Politecnica di Design)の理事長、アントネッロ・フゼッティ氏である。

 「結局、MBA的な勉強をしてきたマネージメント層が、新しい食というテーマでイノベーションをおこせないのですよ」と挑戦的な説明をはじめる。

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