日本酒ビジネスの潜在性 ゲームはまだはじまったばかりだ (1/3ページ)

2015.9.20 06:00

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 「日本酒を受け入れる土壌は米国でも地域によって差がありますからね、どのタイプの酒がトレンドとは一概に言いにくいですね」

 利酒師である米国人のジャスティン・ポッツさんは語った。9月12日-13日の2日間に渡りミラノの元修道院・ウマニタリアで開催された酒フェスティバルの会場でのことだ。

 

 試飲する人たちの反応を見ていると、精米歩合80%の酒の受けが思ったよりも良い。発砲酒や華やかな大吟醸が口当たりの良さで人気であることは変わりないが、米をあまり削りこまない豊かな味を演出する酒に対しても「う~ん、深みがあっていいですねぇ」という欧州人の声が聞こえてくる。  

 およそぼくの世代では「日本酒は悪酔いする酒」という印象が強かった。1980年代後半にはじまった大吟醸ブームで冷やした酒をグラスで呑むようになり、「日本酒も飲めるじゃない!」という再発見のプロセスがあったのだ。熱燗をお猪口でいくか温いコップ酒しかないイメージは過去のものになった。

 あの悪酔いに悩まされた時代の甘ったるい酒と今の精米歩合80%の酒を比較すると酒好きから怒られそうだが、特に酒好きと自称しない「大吟醸で新しい地平」を見出した人間にとって、精米歩合80%の酒が代表する特徴に何らかのトラウマがついてまわっている気はする。

 しかし、そうした偏見とは無縁の人たちが海外市場で生まれている。ポッツさんはこう話してくれる。

 「選択肢をたくさん知っている人が増えてきました。お酒についての情報が世界中に徐々に増え、様々な専門家と出逢ったり、いろんなお酒を飲む機会も増えるに従って、受身的にお酒を選ぶポジションから、より積極的に自分が納得できる、「良いお酒、美味しいお酒は何なのか?」を自ら追求している人たちが増えているのではないでしょうか」

 なるほど。とすると日本の30年程度の流れが短い時間に凝縮して、ミラノにおいても新たな潮流がでてきている、ということか。酒はリキュールではない、熱燗だけではないと大吟醸で目覚めた人たちが、さらに豊かな酒文化に魅了されつつある。

「今年は倍近い1500人程度の方が来場くださり、酒への関心が年々増しているのを実感します」

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