貧困世帯の量を測る指標も、再考の余地があるかもしれません。年収が中央値の半分に満たない世帯が貧困世帯と判定されていますが、貯蓄額も掛け合わせてはどうでしょう。高齢層では、収入がなくともガッツリ貯め込んでいる世帯も多いわけですし。
2013年の『国民生活基礎調査』によると、「年収200万未満&貯蓄ゼロ」の世帯は全体の6.8%です。まさに生活に困窮している世帯ですが、この%値は、細かい属性別に出すことはできません。収入が少なければ「溜め」もない困窮世帯が、社会のどの部分に多く分布しているか。公表統計を整備し、分析できるようにしていただきたいものです。
今回のテーマは貯蓄格差でしたが、格差の規模を測る代表指標のジニ係数について、計算の方法を子細に説明したつもりです。統計学を学んでいる学生さんの参考になれば幸いに思います。
(武蔵野大学、杏林大学兼任講師 舞田敏彦=文 )(PRESIDENT Online)