世帯数分布と貯蓄量分布のズレは、右端の累積相対度数をみると、もっとクリアーです。貯蓄400万未満の世帯が全体の半分近くですが、この層には、社会全体の「溜め」の6.2%しか行き届いていません。
「日本の貯蓄格差は常軌を逸して大きい」
こうした偏りは、表の累積相対度数をグラフにすることで「見える化」されます。横軸に世帯数、縦軸に貯蓄量の累積相対度数をとった座標上に、13の階級をプロットし線でつなぐと、図1のようになります。
きれいな曲線ですね。統計学の素養がある方はお分かりでしょうが、これがいわゆるローレンツ曲線です。ひとまず、貯蓄ローレンツ曲線と名付けましょう。
この曲線の底が深いほど、世帯数と貯蓄量の分布のズレが大きいこと、「溜め」の配分に偏りがあること、すなわち貯蓄格差が大きいことを示唆します。その程度は、色付きの面積で測られます。この面積を2倍した値が、よく知られている「ジニ係数」(編注:収入や貯金・資産の不平等・格差を測るための尺度で、数値が0に近づくほど格差が小さい)です。