移植手術
1例目の患者となったのは、兵庫県在住の40代の女性。同病院で歯周病の治療を受けた際、右下前歯の歯周組織が幅2ミリ、深さ4ミリほど破壊されていることが分かった。竹立助教から、臨床研究の説明を聞いた上で、研究の参加に同意した。腹部から採取した脂肪組織から、幹細胞を分離して2カ月間培養。昨年1月に細胞の移植手術を実施した。局部麻酔をして1時間ほどの手術で、入院の必要もなかった。2週間後には歯茎は通常の状態にもどり、9カ月後のエックス線検査で歯槽骨が再生していることを確認した。
女性は「歯周ポケットが消えてうれしい。高齢になっても歯が抜けることなく安心して食事ができます」と喜んでいる。
少ない拒絶反応
これまでも、進行した歯周病については、人工膜を使ったGTR法などの再生治療が行われていたが、欠損部分の進行度など、適応するには制限があった。