「若い世代の意識の大きな転換点となったのが、98年に発覚した大蔵省の接待汚職事件です。これを機に官僚の力が弱まり、法学部のなかでも官僚を目指す人間が減りました。官僚になっても外資系の金融機関やコンサルティング会社へ転職する者が増えています。東大中退ながら、ホリエモンのような先例も生まれ、『自分も起業したい』と考える者も現れているようです」
そうした浅田さんの見方を裏付けてくれるのが、2億~3億円以上の純資産を持つお金持ちを顧客にし、仕事や生活などさまざまなシーンでの彼らの問題解決を事業にしているルート・アンド・パートナーズの増渕達也社長だ。
「私自身も東大卒で、92年に卒業する際には霞が関のほうを向いている友人が多くいました。しかし、いま現役の東大生に『財務省とグーグルのどちらを選ぶ?』と尋ねたら、グーグルに分があるのではないでしょうか。また、東大卒の起業家も続々と誕生しています。私の顧客を出身大学別に見ると東大がトップで全体の約10%を占めています。そして、そのうち3割ほどが起業家ないしは事業家なのです」
実は、13年度の大学別の卒業生の数を見ると、慶大・6694人、早大・9281人、そして東大が3129人。ざっくりいって、東大は早大の3分の1、慶大の2分の1の卒業生しか送り出してこなかったのだ。それでいて増渕社長の顧客の出身大学別ランキングでトップであるのなら、東大はお金持ち輩出率という点で意外と健闘しているのかもしれない。