その一方で気になるのが、ランキングでトップの慶大で、橘木教授は「三田会の存在抜きに考えることはできません」と指摘する。三田会は言わずと知れた慶大のOB会で、30万人以上いる卒業生である「塾員」は、「地域三田会」「勤務先別三田会」など900近くある三田会のどこかに所属している。なかでも勤務先別三田会が、トヨタ自動車、三井物産、三菱東京UFJ銀行など名だたるトップ企業のなかで組織されていることが大きい。
なぜなら、そうした勤務先別三田会によって、仕事でのコネクションづくりをはじめ、有形無形の恩恵がもたらされていることは想像に難くないからだ。「こうしたネットワークの優位性やブランドを魅力に感じる地方の企業経営者や資産家が、子弟を東大よりも慶大に入学させたがる傾向が強いのです」と橘木教授は語る。
結果、地元に戻って親の事業や資産を継げば、新たな慶大出身のお金持ちが誕生する好循環が出来上がっているのだ。
もっとも、お金持ちといってもピンからキリまであって、世界中を見渡すとピンは何百億、何千億円どころか、数兆円クラスの超富裕層がごまんといる。