市場開拓・産業基盤づくり先決
家事代行サービス業務の標準化を検討する政府主催の協議会に参加するベアーズ(東京都中央区)の高橋ゆき専務は「人口減少社会の日本はいずれ、外国人の受け入れが必要」と、政府の方針に一定の理解を示す。しかし、一方で「国が利用者や企業に補助金を出すなど、市場開拓と産業基盤づくりが本来なら先。少なくとも受け入れのスキームづくりに業界関係者ら専門家を入れるべきでは」と訴える。
野村総合研所が2011年に25~44歳の女性を対象に行った調査では、家事代行サービスの利用率はわずか2%だ。「利用していない理由」には「価格が高い」が53%、「他人が家に入ることに抵抗がある」37%と、経済的・心理的抵抗が目立つ。
野村総研の武田佳奈主任コンサルタントは「家事代行というサービス自体は今後、仕事も育児も家事もと抱え込みやすい日本女性や、介護家庭の支援となる可能性が高い」としたうえで、外国人の受け入れについては「産業の認知度や信頼性の向上、費用の負担軽減策など、利用者が安心して利用できる環境が整ってからでは」とみる。市場ニーズや業界の実態を省みない外国人の受け入れは、せっかくの規制緩和も「絵に描いたもち」になるリスクをはらんでいる。(滝川麻衣子)