勝也さんは取引のあった会社の社長から「あなたは日本酒だけやりなさい」と言われ、それを守った。「父から『わしは50年、酒造り一筋でやってきた。でも、おまえは好きなことしていいんやで』と言われました。その言葉があったから新しいことに挑戦できた」と晃さん。勝也さんの言葉が後押しとなり、ノンアルコールの醸造飲料「白い銀明水」を製造、京都市内の企業と共同でオリジナルの日本酒や和菓子などを生み出している。
「怖い存在でしたが、今では適度な距離を置いて見守っていてくれることに安心感を覚えます」と晃さん。父のやり方を守りながら新境地を開拓、蔵を次代につなぐべく奔走している。(佐々木詩)
≪メッセージ≫
これからも兄弟3人で蔵を守っていきます。
【プロフィル】佐々木勝也
ささき・かつなり 昭和8年生まれ。京都市出身。大学卒業後に佐々木酒造入社、代表取締役社長を務める。現在は同社会長。
【プロフィル】佐々木晃
ささき・あきら 昭和45年、京都市生まれ。仏教大学文学部中国文学科を卒業後、産業機械販売会社で働き、25歳のとき、佐々木酒造入社、40歳で代表取締役社長に就任。