■自由にさせてもらい過ぎた
タイで、HIV(エイズウイルス)に母子感染した孤児たちの生活施設「バーンロムサイ」の代表を務める名取美和さん(68)。「海外を海外と思わない」グローバルな感覚で、日本やヨーロッパで生活してきた。その自由な生き方は、父で写真家の洋之助さん譲りだ。
洋之助さんは自由奔放に生き、多くの人に愛された人物だった。
地方に撮影に行くときは、よく名取さんを連れていった。「家にはいないけれど、よく旅行に連れていってくれました」。留学経験があり、優しかった洋之助さんは女性にモテた。めったに家にいなかったが、「後で知ったんですが、当時、父には愛人がいたんです」
驚きの事実も発覚する。「中学3年くらいの頃、家で両親の離婚届を見つけたんです」。疑問に思った名取さんが戸籍を調べると、両親は1度、離婚。洋之助さんに前妻がいたことも明らかになった。洋之助さんに尋ねると、「前の奥さん、日本にいるから会ってみるか」。