【父の教え】サイバーエージェント社長・藤田晋さん
会員制サイト「Ameba(アメーバ)」の運営などを手掛けるインターネット関連会社「サイバーエージェント」(東京都渋谷区)。社長の藤田晋さん(40)はサラリーマンだった父、隆さん(69)とは違う道を歩みたいと考え、16年前に起業。「21世紀を代表する会社を創る」という大きな目標を掲げ、事業拡大に突き進んだ。
福井県鯖江市にあった大手メーカー「カネボウ」の工場に技術者として勤務していた隆さん。毎日夜遅くまで働く猛烈な仕事人間だったが、休みの日には子供たちをスキーや釣りに連れて行くなど家族サービスも忘れなかった。
「父は子供たちのことばかり考えていた」。小学4年生のとき、福井県の将棋大会で優勝し、「県で1位だから今日からお前はケンイチくんだ」と、大喜びしていた姿を懐かしそうに思い出す。
高度成長期の多くのサラリーマンと同様、隆さんも会社に対して強い忠誠心を持っていた。飲み物や食品、化粧品、毛糸など家の中にある日用品はカネボウの関連商品ばかり。競合他社の商品は決して買わず、家族にも買わせなかった。