人を巻き込み社会に貢献 協和発酵キリン社長・花井陳雄さん (1/3ページ)

2014.1.19 12:29

「生きていたら社長就任を喜んでくれたでしょうね」と話す花井陳雄さん(瀧誠四郎撮影)

「生きていたら社長就任を喜んでくれたでしょうね」と話す花井陳雄さん(瀧誠四郎撮影)【拡大】

  • 経営する洋品店の前で花井陳雄さんを抱っこする父、久冨さん=昭和29年(花井陳雄さん提供)

 がん治療薬などの医療用医薬品メーカー「協和発酵キリン」(東京都千代田区)。社長の花井陳雄さん(60)は「世の中の役に立つ研究をしたい」と望んで大学で薬学を学び、入社後は長年、薬の研究開発に取り組んできた。正義感が強く世話好きだった父、久冨さんの生き方に影響を受けた結果だという。

 「子供時代の環境は『三丁目の夕日』の世界そのものだった」。懐かしそうに振り返る花井さんは、常に人の出入りがある活気のある家で育った。

 横浜・吉野町(横浜市南区の一角)の商店街で戦前から洋品店を経営していた久冨さん。戦争中は通信兵として旧満州に赴き、戦後、空襲で被害を受けた店をゼロから再建した苦労人だ。

 ワイシャツの仕立ての腕に定評があり、固定客が何人もいた。職人が住み込み、お手伝いの女性や客などが頻繁に出入りするにぎやかな家庭だった。そうした中で久冨さんに最初に教えられたのは礼儀だ。

 「ご飯の食べ方や挨拶の仕方、立ち居振る舞い、言葉遣いなどを厳しくしつけられた。父に連れられて川崎球場に野球を見に行った際、人の席の前を走って自分の席に戻ると、『失礼しますと言って通るものだ』と叱られ、やり直しを求められたこともある」

唯一のアドバイスは大学2年のとき、3年以降の専門課程で学ぶ内容について話した際のもの

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