父は徹底的に突き詰める人 「ねこじゃらし」社長・川村ミサキさん (2/3ページ)

2014.3.16 17:47

湊さんが命名したかった「岬」は人名に使えず、カタカナ表記に。「今も漢字に変えろと父は言うが、なじんでいるのでこのままでいる」と話すミサキさん(日野稚子撮影)

湊さんが命名したかった「岬」は人名に使えず、カタカナ表記に。「今も漢字に変えろと父は言うが、なじんでいるのでこのままでいる」と話すミサキさん(日野稚子撮影)【拡大】

  • 湊さん(右)はインドでの学会出席で、自宅にこもるミサキさんを旅に誘ったという(川村ミサキさん提供)

 湊さんは自らの若かりし姿をミサキさんに見たのか。志を立てるのを見守っていた節がある。湊さんに何をしているのかと聞かれ、居酒屋でアルバイトをしてると話すと、「お前はばかか」と一喝された。しかし、ミサキさんがコンピューターで音楽の創作を始めたのを知り、必要な機材一式にと、数百万円を用立てた。「必要と思ったら書店の棚に並ぶ本をまるごと買う人。機材費を出すと言い出したのはびっくりしたけど、『お前がやりたいことなら仕方ない』と」

 心配しているのに核心を尋ねてこない父の思いは伝わっていた。「父が世に出たのは20代後半、群像新人文学賞と聞いていた。僕も27歳ぐらいで社会に出ていないとまずいと思っていた」

 ミサキさんはエンジニアとして、イラストや音楽を安全で快適にネット経由でやりとりできるファイル共有サービスを構築、27歳で起業を果たした。社名の「ねこじゃらし」は、命名で悩んだミサキさんが相談した際、父が発した言葉だ。ふざけた名前と言われたこともあるが、今、出版業界や音楽業界など2千社以上を顧客に抱えるまでに成長。クリエーターの創作活動を支えている。

「ものの見方は違っていても、そこは尊敬してる」

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