三菱、宇宙事業に意欲 海外受注を最優先 H2A成功、技術力アピール (2/2ページ)

2016.11.3 07:31

ロケットからひまわり9号の分離に成功し、喜ぶ打ち上げ関係者=2日午後、鹿児島県の種子島宇宙センター
ロケットからひまわり9号の分離に成功し、喜ぶ打ち上げ関係者=2日午後、鹿児島県の種子島宇宙センター【拡大】

  • ひまわり9号を搭載して打ち上げられるH2Aロケット31号機=2日午後3時20分、鹿児島県の種子島宇宙センター

 売上高5割アップへ

 三菱重工は、大型客船の工事遅れで巨額の損失を出し、開発中の旅客機「MRJ(三菱リージョナルジェット)」でも度重なる納入延期を余儀なくされている。難局続きの同社にとって技術の信頼性を示した打ち上げ成功は、「汚名返上」にもつながりそうだ。

 一方、海外受注の拡大は三菱電機も力を入れており、08年以降、シンガポールやトルコ、カタールから受注している。

 17年には、約30億円をかけて衛星を製造する鎌倉製作所相模工場(相模原市)を拡張する予定。宇宙事業の売上高を、20年度に現状の約5割増となる1500億円に増やす計画を掲げる。

 国内の宇宙産業の規模は約3000億円と、5兆円を超える米国と大きな開きがあるうえ、官需が大半を占める。スペースXをはじめとした民間参入も相次ぎ、競争は激化しつつある。こうしたなか、政府は宇宙基本計画などを通じ、日本企業の海外市場開拓を後押しする構えで、今後はオールジャパンの取り組みも問われる。(井田通人)

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