JR北海道は26日、安全運行や北海道新幹線開業に向けた投資を優先し、開発を断念した新型特急用ディーゼル車「285系」の試作車3両を、検査車両として活用することを断念すると明らかにした。車両の改造費用がかさむためで、同社は「今後も何らかの活用を検討する」としている。
285系は平成18年に開発を開始。「振り子装置」と「車体傾斜装置」を組み合わせた世界初の「ハイブリッド車体傾斜システム」を取り入れ、カーブでの高速走行と乗り心地の向上を両立させるとして、開発に約25億円をかけていた。同社で事故や不祥事が相次いだことを受け、26年9月に開発中止を発表した。
試作車は当初、レール幅や電気設備の異常を調べる「総合検測車」としての活用を検討したが、車両の構造が複雑で、改造に多額の費用がかかることが判明したという。
JR北海道では、特急用ディーゼル車全236両のうち、32年以上使用している車両が34両あり、老朽車両の更新が課題になっている。