丸みを帯びた緑色の車体から「青ガエル」の愛称で親しまれてきた人気車両「5000形」が14日夜、営業運行を終え引退した。昭和29年に東京急行電鉄東横線でデビューしてから60年余り。全国で唯一、運行されていた熊本電気鉄道の現役最後の1両の雄姿を目に焼き付けようと、この日、全国から大勢の鉄道ファンが熊本へ集まった。運行最終日の昼過ぎ、体験乗車に訪れてみた。 (谷田智恒)
熊本で〝第二の人生〟も故障相次ぎ引退
5000形は昭和29~34年に製造され、東急電鉄の車両として首都圏で運行。その後も各地の私鉄に譲渡され、〝第二の人生〟を送っていた。
このうち熊本電鉄は、今回引退する車両(32年製)を60年に導入。製造から半世紀以上が経過して老朽化が進み、全国で相次いで廃車になる中、熊本電鉄の青ガエルが唯一の現役車両となっていた。
しかし、構造上、冷房装置が付けられない上、運転操作も難しい。熊本電鉄は最近では、日曜日限定で北熊本(熊本市北区)-上熊本(西区)間3・4キロで運行してきたが、故障も目立つようになってきたことから、引退が決まった。