JR東海は、米企業がテキサス州で進める新幹線技術を使った高速鉄道事業への支援を本格化する。年内に現地法人を設立し技術系職員を派遣、運営企業への出資も検討する。日本政府がインフラ技術の輸出を重要政策に掲げ、後押ししていることを追い風に「米新幹線」の実現を目指す。
テキサス州の高速鉄道事業は、地元企業の「テキサス・セントラル・パートナーズ」(TCP)が主導する。ダラスとヒューストン間の約385キロを結ぶ計画で、2017年に着工し、21年の開業を予定している。
JR東海は新幹線技術の売り込みに力を入れており、着工予定を来年に控え支援態勢を強化する。信号や電気、車両といった鉄道関連の専門技術者約20人を米の高速鉄道事業に充て、一部職員を米国に設立する現地法人に配置。将来の運営企業に数億円規模の出資をする方針だ。
高速鉄道の輸出は、安倍政権が推進する成長戦略の一つ。官民でつくる海外交通・都市開発事業支援機構(JOIN)は昨年11月、事業を支援するためTCPに対する4000万ドル(約43億円)の出資を決めた。インドネシアの高速鉄道事業の受注で中国に敗れたことを「教訓」に、米国への輸出を推進する。