子供がベランダから平気で身を乗り出すのは「高所平気症」という“病”の影響との見方がある。福島学院大の織田正昭教授(福祉心理学)は「高層マンションで育つことで、高い場所が怖くないという子供が増えている」と指摘する。
昭和60年代ごろから高層マンションに子育て世帯が増え始めた。人間は自分の目線の高さを基準に地面との距離を把握し「高さ」を認識している。高さに応じて危険性を判別する感覚は、4歳ごろまでに大人の8割程度まで発達する。高層階で暮らし、地面を目にする機会が少なくなると、危険感知の感覚が育ちにくいのだという。
高所の危険性を教えるには「意識的に地上で遊ぶ機会を取り入れること」(織田教授)だ。滑り台やジャングルジムなど地面が見える高さの遊具で体感させることが効果的だ。