大阪市天王寺区に大阪ガスの“実験場”があることはあまり知られていない。都会の集合住宅で社員家族が生活し、製品化前の機器やシステムの実証実験に取り組んでいるのだ。立地が良く、市販前の製品をいち早く体験できるとあって社内の人気は上々。近未来に増えそうな世帯構成を幅広く想定するため、大幅な間取りの変更ができる建築方式を採用しているのが特長で、新しい住宅設計を研究する取り組みも始まった。(藤谷茂樹)
新しいサービスを検証
オフィスビルやマンションが建ち並ぶ一画に、大阪ガスの実験集合住宅「NEXT(ネクスト)21」がある。地上6階、地下1階建てで延床面積約4600平方メートル。中庭からの吹き抜けが開放感を演出する。屋上やテラスを覆う緑は、かつて緑化が住空間にもたらす効果をみる実験で植えられた名残だ。
建設には25億円を投じて平成5年10月に完成した。大ガス関係者は「好景気のバブル期の計画だから可能だった」と苦笑するが、同社の製品、サービス開発には欠かせない実験場だ。現在、住居用18室のうち16室に16世帯57人が暮らす。