高島屋も新宿の「タカシマヤタイムズスクエア」でニトリにスペースを貸し出す方針を打ち出すなど、不動産賃貸事業に舵を切り始めた。
三越伊勢丹は老舗ゆえに守るべきものも多いのか、消費者のニーズの変化への対応で2社よりも出遅れ感がある。
三越伊勢丹傘下の三越は1673年に開業した呉服店「越後屋」を起源とし、1904年には「三越呉服店」として日本初の百貨店となった。老舗中の老舗で日本の百貨店の顔ともいえる存在だ。1886年開業の「伊勢屋丹治呉服店」を起源とする伊勢丹も歴史が古く、固定ファンは多い。
ただ、今はインターネットが普及し、いつでもどこでも安くて良いものを手に入れられる時代に変わってしまった。消費者ニーズの変化は速く、対応が一歩遅れれば、老舗の三越伊勢丹であっても、さらに凋落(ちょうらく)の一途を辿(たど)る可能性さえある。
大西社長は会見で「将来的には売上高を百貨店が60%、その他が40%の形にしないといけない」と述べたものの、新たなビジネスモデルの具体像を示せていない。
三越伊勢丹は14年3月期の連結営業利益で過去最高を記録したが、爆買い頼みの側面が否めなかった。それだけに、その急速な失速はダメージが大きい。国内の消費動向の変化を踏まえた新たな成長の青写真を早急に描けるかが老舗百貨店の前途を大きく左右することになりそうだ。(黄金崎元)
■三越伊勢丹ホールディングス
平成20年4月に三越と伊勢丹が株式を共同移転し、設立された業界最大手の百貨店グループ。三越、伊勢丹をはじめ、地方百貨店も所有する。欧米やアジアでも店舗を展開している。平成28年3月期の連結売上高は1兆2872億円。