各社は中国勢の過剰生産による市況悪化で、15年度に軒並み業績を悪化させた。今期も円高が加わって苦しい経営が続いており、新日鉄住金は1300億円と前期比35.3%の経常減益を見込む。
だが、この数字は第1四半期(4~6月期)決算を発表した7月28日時点のものだ。その後の石炭価格上昇は織り込まれておらず、今後の動向次第では利益は一段と減少する。
新日鉄住金は、15年度に2641万トンの石炭を輸入した。今期の輸入量が同程度として、仮に価格が200ドルに倍増し、半年続いたとすると、予想した利益が全て吹き飛びかねない。
新日鉄住金の進藤社長が語るように、上昇分を製品価格に転嫁できれば、収益悪化は避けられる。しかし、今春打ち出した値上げ方針は、販売低迷に直面する自動車メーカーなど大口需要家の反発の中、十分に実現していないのが実情だ。上昇した石炭価格を製品価格に転嫁するのは容易ではない。