中国の過剰生産による市況悪化に続く「第2の中国リスク」が鉄鋼業界を揺るがしている。中国が、鉄の原料となる石炭の生産を減らしたことで、価格が急激に上昇。これが鉄鋼各社の製造コストを押し上げ、収益を圧迫しているのだ。円高に苦しむ自動車業界など大口需要家への価格転嫁も難しく、鉄鋼各社は苦悩の色を深めている。
政府が生産抑制
「新日鉄住金としては、製品価格に転嫁させていかないと、事業が継続できなくなる」
日本鉄鋼連盟会長として9月28日の定例会見に臨んだ進藤孝生・新日鉄住金社長は、石炭価格の上昇に危機感をあらわにした。
鉄は鉄鉱石を蒸し焼きにした石炭(コークス)で還元して造る。1トンの鉄を造るのに、0.5トン以上の石炭を使っているといわれる。指標となる豪州炭のスポット(随時契約)価格は、7月下旬まで1トン=100ドル(約1万円)を切る水準で推移していたが、直近では210ドル(約2万1000円)前後と2倍以上に跳ね上がっている。200ドル超えは2012年7月以来だ。