多々見 東日本大震災後、国土全体の強靱性を確保するには、日本海側と太平洋側の連携を図る必要があると再認識された。日本海側の機能を強化することが急務といわれている。また、この地域は東アジア諸国との交流拠点としての大きな可能性を持っている。さらに、南海トラフ巨大地震などで太平洋側が甚大な被害を受けた時のリダンダンシー(代替機能)確保の観点からも日本海側国土軸の形成は重要だ。
--その中でも京都府北部は特に重要?
多々見 まず、交通網の結節点としての役割がある。将来の山陰新幹線の整備を考えると、JR西日本が主張する「小浜・京都」ルートでは無駄が多い。しかしそれ以上に、この地域は全国的にみてもたいへん重要な場所だと、私は考えている。
--それはどういう意味で?
多々見 1つは経済的な貢献。府北部地域は年間6千億円規模の製造品出荷額を誇り、日本海側有数の生産基盤を持つ。また、舞鶴港という海の玄関口もある。国が進めるインバウンド政策の「広域観光の拠点」としての可能性も高い。さらに重要なのが定量的に計算できない要素。国の防衛に欠かせない陸・海・空の自衛隊基地が集まり、海の安全の拠点となる第8管区海上保安本部、エネルギー供給拠点の火力・原子力発電も数多く立地している。
--そうした重要性は、中央ではなかなか理解されていないのでは?