ただ一回のイベントで彼らを登場させただけでは、あまり意味がない。
今、デザインの表現で大事なのは、マーケティングから導き出した無国籍のインターナショナルデザインではない。かといって思い入れたっぷりのローカルデザインが世界の市場を相手にする大量生産のクルマに相応しいわけでもない。
ローカルな言葉を喋りながらインターナショナルを語り、インターナショナルな言葉を喋りながらローカルを魅力的に語る。その術が必要だ。フォルマファンタズマは、その術をもっていながら、クルマというジャンルにマッチする言葉を磨き切れていなかった。
レクサスがこれからまだまだ作っていくプロセスを覚悟しているならば、フォルマファンタズマをチームの重要なメンバーとして迎え、一緒に歩いていくべきではないか。
(安西洋之)
ローカリゼーションマップとは? 異文化市場を短期間で理解するためのアプローチ。ビジネス企画を前進させるための異文化の分かり方だが、異文化の対象は海外市場に限らず国内市場も含まれる。
安西洋之(あんざい ひろゆき) 上智大学文学部仏文科卒業。日本の自動車メーカーに勤務後、独立。ミラノ在住。ビジネスプランナーとしてデザインから文化論まで全方位で活動。現在、ローカリゼーションマップのビジネス化を図っている。著書に『世界の伸びる中小・ベンチャー企業は何を考えているのか?』『ヨーロッパの目 日本の目 文化のリアリティを読み解く』 共著に『「マルちゃん」はなぜメキシコの国民食になったのか? 世界で売れる商品の異文化対応力』。ローカリゼーションマップのサイト(β版)とフェイスブックのページ ブログ「さまざまなデザイン」 Twitterは@anzaih