ただ、海外企業との仕事は商習慣が異なり、受注した工事の設計や仕様を詰める調整力が求められる。さらに設計変更があった場合でも、柔軟に対応できる手法が必要となっている。
重工大手各社は難しい工事で巨額損失を計上し、高い“授業料”を払ったが、失敗で得た経験やノウハウを、ものづくりの現場にどう生かしていくのかが問われる。(黄金崎元)
■重工大手3社の主な工事トラブル
発表時期 内容
三菱重工業 2014年10月 大型客船の納期延期(1回目)
15年 8月 大型客船の納期延期(2回目)
大型客船の納期延期(3回目)
15年12月 主翼の強度不足などで、MRJの納期を4度目の延期。2017年第2四半期から1年程度延期
愛知工場で建造する掘削船や海洋構造物の工事が遅延
IHI 15年 8月 トルコのイズミット湾の橋梁工事で落下事故
16年 2月 インドネシアのボイラー工場で溶接材の取り違え
川崎重工業 16年 1月 ブラジルの汚職事件で、造船事業の合弁会社の資金回収ができなくなり、221億円の特損を計上