この緊急事態を受け、4月から斎藤氏が会長兼最高経営責任者(CEO)に就任し、満岡次郎氏が社長兼最高執行責任者(COO)に昇格し、二人三脚で現場を立て直す。
4月から「ものづくりシステム戦略本部」を新設し、営業から契約、設計、調達、製造に至るまでの工程を改善する。海外顧客の設計変更に柔軟に対応するため、工事の業務プロセスを計画的に作り、作業の監視体制を強化する。満岡社長は「ものづくりのあり方を見直し、失われた信頼を早く回復したい」と立て直しに不退転で臨む。
一方、三菱重工も客船事業や小型ジェット旅客機の開発でトラブルが相次いでいる。客船事業では、11年に米カーニバル傘下のアイーダ・クルーズから大型客船2隻の建造を受注したが、度重なる設計変更で、累計1866億円の特別損失を計上。1番船は3月14日に1年遅れで引き渡したが、2番船の納期は見通しがたっていない。鯨井洋一副社長は巨額損失を計上した理由について「顧客と仕様をきちんと決めずに、あいまいなまま建造をスタートさせたのがまずかった」と反省する。欧州では1、2年かけて仕様を決めるが、三菱重工は顧客と仕様を固めなかったため、何度も設計が変更される事態に陥った。