化学吸収法を用いた回収のアイデアは以前からあるが、実用には遠く、熱風炉ガスは活用されてこなかった。吸収液を加熱するのに膨大な熱エネルギーが必要で、コストが高くつきやすいためだ。
そこで新日鉄住金エンジは新たな回収技術「ESCAP」を開発。吸収液を加熱する際の温度を、従来の120度程度から100度以下まで引き下げるのに成功した。これにより90%のCO2回収率を達成する一方、熱エネルギー量は4割、回収コストも2割程度減った。
加熱温度が下がったことで、利用価値がないとして使われてこなかった廃熱や低温蒸気を活用しやすくなるうえ、設備も簡素化できるという。
「原料ガスが常圧の場合は特に適している。火力発電所や化学プラントの排ガスも対象にできる」。新日鉄住金エンジの萩生大介製鉄プラント事業部商品技術室ガス精製・エネルギー技術グループマネジャーは、ESCAPの強みをそう説明する。