「混入犯に仕立て上げられた」「悪の象徴にされた」…。ときに激しく、ときに文学的な表現で赤裸々な心境を書き連ねた手記。STAP細胞をめぐる一連の騒動の当事者だった理化学研究所の小保方晴子元研究員が講談社から出版した「あの日」の内容に、反響が広がっている。騒動を謝罪しながらも、実験の一部は再現できていたと主張。さらに「取材攻勢は殺意すら感じさせる」などと毎日新聞やNHKの記者の実名を挙げての批判も飛び出し、インターネットの電子書籍販売サイトで一時、1位にランキングされた。騒動に巻き込まれた理研では、関係者が「関心ないといえば嘘になる」と明かす一方、「印税に心を売ったのか」と憤怒の声も渦巻く。精神科医は文面から「強い自己愛」を指摘するのだが…。
謝罪、そして潔白主張
小保方氏は手記の冒頭、「はじめに」として「STAP細胞に関する論文発表後、世間を大きく騒がせたことを心よりお詫(わ)び申し上げます」と謝罪。その一方、「人生をやり直すことができたとしても、私は研究者の道を選ぶ」「自分なりに一生懸命に実験に取り組んできた」「誰かを騙(だま)そうとして図表を作成したわけではない」「一片の邪心もありませんでした」と身の潔白を強調した。