環境省は環境アセスの手続きで、初期と終盤に2回の意見を出す権限を持つ。環境省が出した5件の反対意見はいずれも手続き初期段階で、法的拘束力がなく、すぐに計画が止まるわけではない。
だが、最終意見の場合、最初の意見より内容は格段に重く、建設の許認可を行う経産省も無視できない。過去には環境省の反対意見で計画が中止になった例もある。
石炭火力の計画は着工に向け今後も順次進むが、環境省は「状況に大きな変化はない」(幹部)と、厳しい姿勢を崩していない。競争力向上が課題の「新電力」からは「石炭火力がないと競争にならない」(本荘武宏・大阪ガス社長)との声も聞かれる。低コスト電源の原発の再稼働が遅れ、石炭火力の新設が見通せない二重苦に陥れば、電気料金は高止まりする可能性もある。(佐藤克史)