東日本大震災後、来春の電力小売りの全面自由化を見据えて電力事業に参入する企業が増え、燃料代が安い石炭火力の計画が急増。環境省の試算によると、国内で35基の石炭火力の新設計画があり、設備容量にすると約1800万キロワットに上る。現状の約4000万キロワットと合わせると政府目標の26%を大きく上回る。
電力業界は7月に30年度の温室効果ガスを13年度比で約35%削減する自主目標を公表。9月には中間目標を設定し、さらに数十社で進捗(しんちょく)をチェックする管理団体の設立を検討するなど意欲を示すが、会社ごとの目標を定めない消極的な対応に不満を抱く環境省は「実効性に課題がある」と受け入れない。
最新設備導入で対応
低コストの石炭火力を重要電源としている経済産業省は、規制強化で火力発電に占める石炭火力の割合を5割未満に抑え、CO2排出量の少ない最新設備の導入を促すことなどで、環境省の理解を得たい考えだ。