人間の知能の働きを再現するコンピューター「人工知能(AI)」の開発に中国が本腰を入れ始めた。次世代の「産業革命」を起こす潜在力を秘めているとされ、世界中で開発競争が繰り広げられるなか、中国がターゲットにするのは「大学入試」だ。入試はAIの性能を証明する領域でもあり、すでに研究協力に“触手”を伸ばされた日本人研究者もいる。ただ、中国では最近になって、AI研究のデータに不正が発覚する不祥事が表面化。その実力には疑問もつきまとう。謎のベールに包まれた研究の実態とは-。
3年間に30億円
人間の頭脳の働きを、そのまま再現するコンピューター、AIの開発は実現すれば産業界のみにならず、あらゆる人間の営みに波及するだけに、近年、科学大国・米国をはじめ欧州や日本でも急速に開発競争が激化している。
そこへ参戦してきたのが中国だ。ターゲットは、AIの性能を明瞭に証明できる「大学入試」の領域とされる。
中国政府は国家プロジェクトと位置づけて開発に着手。国内のみならず、国外の研究者にも協力の打診を進めている。もちろん日本も例外ではない。