シャープが経営再建策の柱に位置付ける希望退職の応募者が3234人にとどまった。3年前に会社を去った2960人は上回ったものの、目標の3500人規模に届かなかった。新中期経営計画の重点戦略で掲げた固定費削減策の目玉がいきなり“未達”。シャープは他のコスト削減を積み増すことで不足分を埋め合わせる方向で、希望退職の追加募集は見送られる見通しで、ラストチャンスといわれる再建は序盤からつまづいた格好だ。
ギスギスする雰囲気
「職場の雰囲気が良いわけがない。みんな表面的には静かですが、ギスギスしている」
希望退職の募集中の7月末、50代の男性社員はこう打ち明けた。
シャープでは6月下旬から、希望退職の対象となる45~59歳の社員全員に対し部門ごとにトップが個別に面談。1回目は会社の方針や退職金などを説明。2回目以降に対象者の意向を確認していった。部門ごとに人員削減の目標人数を設定し、5段階評価の人事評価で一定以下の人で退職を希望しない人には3回目以上の面談が続き、「今後、あなたには活躍の場がないかもしれない」と事実上の退職勧奨をするケースもあった。