家庭用エアコンの国内首位のパナソニックが、ビルや工場で使用する業務用も強化する方針を打ち出し、空調分野でもBtoB(企業間取引)に注力する姿勢を鮮明にした。中国と東南アジアを重点地域に位置づけ、販路確保のためM&A(企業の合併・買収)を検討する。これに対しエアコン全体の“世界首位”のダイキン工業は全世界をくまなく網羅する「横綱相撲」で迎え撃つ。業界ではエレベーターとのセット営業に強みを持つ三菱電機の存在感も大きく、エアコンをめぐる国内外の戦線がますますヒートアップしそうだ。(藤原直樹)
三洋の技術を継承
「家庭用エアコンで稼いだ利益を業務用の大型エアコンへの投資に使って商品力を高める」
パナソニックの津賀一宏社長は4月28日に東京都内で開いた平成27年3月期連結決算発表の会見でこう強調し、業務用エアコンの強化を宣言した。
パナソニックは家庭用エアコンでは国内シェアトップだが、業務用はダイキンに大きく差をつけられている。量販店での価格競争が激しい家庭用に比べて業務用は安定した収益が見込めるためパナソニックは業務用へのシフトを打ち出す。それに伴い、家庭用の収益も業務用への投資に回していく考えだ。