経営再建中のシャープの高橋興三社長が、液晶事業の社外分社化をめぐる姿勢で“豹変”した。5月に中期経営計画を発表した会見では完全否定したが、わずか2カ月半後に「いろんな可能性を探っていく」と検討を示唆したのだ。背景には業績回復を支えてきた中国のスマートフォン向け中小型液晶パネル市場の失速があるが、高橋社長は「中計の小さい項目にこだわる必要はない」と宣言。ラストチャンスと位置づけた再建策が早くも漂流しだしたのか。(松岡達郎)
環境が激変
「読みが甘いと言われたらそれまでだが、自分たちが決めたことに固執するのはよくない」
7月31日、平成27年4~6月期連結決算を発表した会見で、高橋社長はこう開き直った。
再建策の柱ともいわれた液晶事業の社外分社化の方針を転換したのは、液晶パネル市場を取り巻く環境が大きく変わったためだ。